耳鳴りの基礎知識
2017年03月31日更新 2017年03月31日公開

耳鳴りが起こる原因と考えられる病気とは

耳鳴りとは、実際には周囲で音はしていないのに、音が聞こえてしまう状態を言います。ここでは、耳鳴りはなぜ起こるのか、耳鳴りが発生するメカニズム、原因、治療法をドクター監修の記事で詳しく解説します。

耳鳴りにはさまざまなタイプがあり、キーンという高音からボーという低音まで、症状の現れ方には個人差があります。耳がどのように音を認識するのか、耳の仕組みから耳鳴りの原因まで詳しくご紹介します。

耳の構造と音を認識できる仕組みとは

耳は、外耳、中耳、内耳の3つの部分で構成された、聴覚に関わる重要な器官です。体の外から見える部分の全体を外耳と呼び、外側から耳介(じかい)、耳の穴の入り口にあたる外耳孔(がいじこう)、耳の穴である外耳道(がいじどう)で、耳は形成されています。外耳道の奥には鼓膜(こまく)が存在し、そこから先は中耳と呼ばれ、さらに耳の一番奥に位置する部分が内耳になります。

外からの音や声を認識するためには、耳から脳へ音が伝わらなくてはいけません。その仕組みは、次のとおりです。最初に、耳介に集められた音の振動が、外耳道を通じて鼓膜に伝わることで震えを起こします。鼓膜の振動は、耳小骨(じしょうこつ)に伝わり、その奥にある蝸牛(かぎゅう)へ伝達されます。うずまき状の形をした蝸牛の中には、リンパ液が満たされており、音の振動はリンパ液を震わせて蝸牛の中にある基底板を通じて感覚神経に伝わります。感覚神経では音の振動を電気信号に変換して、内耳神経から大脳の聴覚野(ちょうかくや)に伝わり、音は認識をされるのです。

耳鳴りのメカニズム

耳鳴りとは、外で音や声がしていないのに、耳は音を感じてしまう状態のことです。耳鳴りがなぜ起こるのか、詳しいメカニズムは明らかになっていない部分もありますが、外耳で集められた音の振動が脳に伝わるまでの過程で、なんらかの異常が発生することが耳鳴りの原因ではないかと考えられています。また、耳鳴りと同じタイミングで、音や声が聞こえにくくなる難聴が起こりやすいことも特徴の一つです。

難聴は伝音難聴と感音難聴の2種類がありますが、耳鳴りを経験している人の割合は、感音難聴が多いといわれ共通の原因が推測できます。音が脳に伝達するまでの経路は、外耳から内耳にかけて音の振動を伝える伝音系と、内耳から脳にかけて音を感じて認識する感音系に分けられます。感音系の異常で音の電気信号が伝わらなくなると、脳は通常よりも感度を高めて音を受け取ろうと変化するため、通常では感じ取らない電気信号まで聞きとってしまい、耳鳴りが発生すると考えられます。

耳鳴りの原因

耳鳴りの原因は、耳とその周辺の病気、全身の病気、自律神経の作用などが考えられますが、解明されていない部分もあります。耳鳴りをともなう耳の病気には、耳の穴で炎症が起こる外耳道炎、鼓膜の内側と外側の圧力が調節できず耳が詰まる耳管狭窄(きょうさく)症、耳管が開いたままになり耳が詰まる耳管開放症などがあります。さらに、鼓膜の奥に浸出液が溜まる滲出性中耳炎や、内耳の内リンパが増えたことで発症するメニエール病、片方の耳に難聴と耳鳴りが突然発症する突発性難聴、外耳の外リンパが漏れ出てしまう外リンパ瘻(ろう)などが、耳鳴りを引き起こす原因として考えられます。

聴神経や脳の病気

耳鳴りには、聴神経や脳の病気が影響していることもあります。耳鳴りの原因となる病気の一つが、聴神経腫瘍です。聴神経腫瘍とは、内耳の神経の周囲にできた良性の腫瘍のことであり、腫瘍が聴神経を圧迫させて、耳鳴り、難聴、めまいなどを発症します。さらに、耳鳴りを発生させる脳の病気として脳梗塞もあります。脳梗塞は、脳の動脈がつまることで、その先にある組織に栄養と酸素が運べなくなる病気です。脳梗塞は、血管がつまる部位によって症状に違いはありますが、内耳に血液を運んでいる前下小脳動脈で脳梗塞が起きると、耳鳴り、難聴、回転性のめまいなどが現れるといわれます。

その他の病気

耳鳴りの主な原因は、音が脳に伝わるまでの経路のトラブル、神経や脳の病気などがほとんでです。しかし、中には高血圧、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病や、腎臓病、不整脈などの病気が原因で発症することもあります。また、耳鳴りはストレス、うつ病、更年期障害などが原因で発生することもあり、自律神経の働きが影響していることも考えられます。

耳鳴りの改善法

耳鳴りは、メカニズムが解明されていない部分も残っているため、病院で検査を受けても原因を特定できず、完全に症状が消えない場合もあります。そのため、病院では耳鳴りの症状を緩和させるための対症療法を行いながら、耳鳴りを引き起こす原因と思われる病気の治療を合わせて行うのが一般的です。また、耳鳴りの発生には、ストレス、疲労、寝不足などの影響も見られるため、生活習慣の見直しも大切です。耳鳴りの予防と改善のためには、夜は十分な睡眠をとるように注意して、タバコやアルコールの飲み過ぎは控えるようにしましょう。

耳鳴りを軽減させるための薬物療法

耳鳴りの症状を緩和させるための一般的な対症療法は、薬物療法です。治療に使用される薬は、筋肉の緊張をほぐす筋弛緩剤、血流を改善する末梢血管拡張薬、神経の代謝と修復を助けるビタミン剤、自律神経を整える自律神経調整薬などが治療薬として処方されます。その他には、症状に合わせて抗不安剤、抗うつ剤など、精神を安定させる薬が使用されることもあります。さらに、急に発症する激しい耳鳴りの場合には、局所麻酔の注射を使用したり、ステロイドホルモンを中耳に注入したりして治療を行うこともあります。

その他の治療法

耳鳴りの治療法には、薬を使用しない対症療法もあります。その一つがマスカー療法です。マスカー療法は、補聴器のような機械を使い、ノイズ(雑音)を聞くことで耳鳴り以外の音に意識を向けて症状を緩和させることが期待できます。その他の薬を使わない治療法には、カウンセリングを行いながら耳鳴りを自然なものとして受け止めるように訓練していくTRT療法や、耳の穴の周囲にある聴宮(ちょうきゅう)、耳門(じもん)、聴会(ちょうえ)などのツボを押す方法も症状の緩和に役立つといわれます。

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